米国の社会保障庁(Social Security Administration:SSA)が、これまで利用してきたプレスリリースの発行を停止し、すべての公式コミュニケーションをX(旧Twitter)上で行う方針であることが報じられました。Wiredの報道によると、SSAの内部会議でこの方針が職員に対して伝えられたとのことです。
SSAの公式発表はX限定に
SSAの地域マネージャーであるリンダ・カー=デイビス氏は、次のように述べています。
「今後、プレスリリースや通知書を発行してメディアや一般市民に制度変更などを伝えることはしません。代わりに、今後はXを通じてすべての公式情報を発信していきます。」
これまでSSAは、年金や医療保険などの制度改定、本人確認方法の変更、死亡記録の運用などについて、公式サイトや報道機関向けのプレスリリースで通知してきました。それが今後はすべてX上での発信のみになるというのです。
高齢者にとって不便な変更
この方針転換には、懸念の声も多く上がっています。特に、SSAの主な対象である高齢者はXを使っていない人が多く、重要な情報を見逃すリスクが高いという指摘があります。
- 高齢者層の多くはSNS利用率が低い
- Xの利用にはアカウント登録と基本的なITリテラシーが必要
- アクセシビリティや視認性の問題も存在
そのため、「誰でも公平に情報へアクセスできる」という行政機関の基本理念に反していると見る向きもあります。
背景にあるDOGEとイーロン・マスク氏の関係
この方針の背後には、イーロン・マスク氏が率いるDOGE(米政府の新組織)による予算削減が関係しているとされています。
DOGEは、以下のような動きを取っており、マスク氏の企業(特にXやTesla)に有利な政策変更を進めているとの見方もあります。
- 国家道路交通安全局(NHTSA)の人員削減
- 政府向けカスタムAIチャットボットの導入計画
- 政府の情報発信基盤をXに集中
これらの施策が進むことで、米国政府の公式情報発信が特定の民間企業のプラットフォームに依存する事態が加速しているのです。
専門家・市民からの反応
市民団体やジャーナリズムの専門家からは、以下のような懸念が表明されています。
- 「国民の知る権利」が狭められる
- プラットフォーム障害時に情報が届かない
- 民間企業による検閲の可能性
また、X自体が広告やアルゴリズムの制御により、発信情報がすべてのユーザーに届くとは限らないという課題もあります。
まとめ:透明性とアクセス性が問われる今後のSSA運営
SSAがXに公式情報発信を全面移行するという決定は、情報の公平性・透明性という点で大きな疑問を呼んでいます。今後、実際にどのようにこの方針が実行され、国民とのコミュニケーションが維持されるのかが注目されます。


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