音楽ストリーミングサービスDeezerが、毎日アップロードされる楽曲の約18%がAIによって生成されたものであると発表しました。これは、1日あたり約20,000曲にものぼります。
同社は2025年1月にAI音楽を識別・ラベル付けするツールを導入したばかりですが、AI楽曲の増加スピードは想定以上に早く、音楽業界のルール形成が追いついていない状況です。
Deezerとは?
Deezerはフランス発の音楽ストリーミングサービスで、2016年からアメリカでもサービスを開始。Spotifyの対抗馬として、独立系アーティストの楽曲アップロードを容易にするプラットフォームとしても知られています。
ただしこの仕組みは、AI生成音楽にも門戸を開く結果となっています。
なぜAI楽曲が急増しているのか?
AIの進化とともに、以下のような要因でAI音楽のアップロードが爆発的に増えています。
- AI作曲ツールの一般化(例:Suno、Udio など)
- 簡易な制作フロー:数分で楽曲を生成可能
- ストリーミング収益目的の大量投稿(特にSpotifyで問題視)
Deezerでは2025年1月の時点で、AI楽曲の割合は全体の10%程度と報告されていましたが、わずか数ヶ月で8ポイント増加したことになります。
Deezerの対応策:AI識別ツールとラベル付け
DeezerはAI生成音楽を自動検出する識別アルゴリズムを導入し、該当コンテンツには「AI-generated」タグを付けています。
しかし現時点では、
- AI楽曲の配信自体は容認
- ラベル付けはリスナーへの注意喚起のみ という“過渡期的対応”にとどまっています。
著作権との衝突:訴訟の動きも
AI生成音楽をめぐっては、著作権侵害の懸念が強まっています。2024年には以下のような訴訟も起こっています。
- Suno / Udio に対してレコード会社が提訴
- 理由:既存の音源データを「無断で学習」しているため
- 著名アーティストも「無断AI学習」に抗議
現在、これらの訴訟に対する明確な判決は出ておらず、AI音楽の法的位置づけは未確定のままです。
Spotifyも同様の問題を抱える
Deezerに限らず、SpotifyでもAI音楽がプレイリストを“ハック”しているという報告が多くあります。
一部ユーザーは、明らかにAIで生成された楽曲がランキング入りしていると指摘。Spotifyは一部を削除していますが、AI音楽の配信自体を禁止する方針はありません。
Spotify共同社長Gustav Söderström氏のコメント:
「合法的に作られ、報酬が支払われるなら、人々が聴くのを止める理由はない」
今後の課題:AI音楽は“音楽”か?
AI生成音楽の急増により、今後以下のような問題が浮上する可能性があります。
- 「本物のアーティスト」の発掘が難しくなる
- 収益配分の不公平感
- リスナーの混乱(AIか人間か見分けがつかない)
音楽ストリーミング業界、そして法律の世界が、AI楽曲に対する新たなルール作りを迫られているのは間違いありません。
まとめ
Deezerの報告により、AI生成音楽が音楽業界の主流の一角になりつつある現状が明らかになりました。
AI音楽の可能性は広がっていますが、それに伴う倫理的・法的な課題も無視できません。
「AI楽曲を受け入れるのか?規制するのか?」
今、音楽の定義そのものが問われています。


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