アカデミー賞受賞俳優のジェイミー・リー・カーティス氏が、自身の肖像を無断で使用したAIによるディープフェイク広告の削除を求め、Meta社のマーク・ザッカーバーグCEOを公に非難しました。この出来事は、ますます巧妙化するディープフェイク技術の悪用と、プラットフォーム側の対策の難しさを改めて浮き彫りにしています。
事件の詳細
発覚とカーティス氏の対応
Engadgetなどの報道によると、ジェイミー・リー・カーティス氏は、自身が出演したMSNBCのインタビュー映像をAIで不正に操作し、自身が承認も支持もしていない「くだらない何か(some bullshit)」を宣伝するディープフェイク広告がFacebookやInstagram上で拡散されていることを発見しました。
カーティス氏は、Meta社の正規ルートを通じて広告の削除を試みましたが、十分な対応が得られなかったと述べています。そのため、2025年5月12日、自身のFacebookおよびInstagramアカウントを通じてマーク・ザッカーバーグ氏を直接名指しし、次のように訴えました。 「私の名前はジェイミー・リー・カーティスです。私は、この全くのAI偽CM(私が許可も同意も支持もしていない、あるくだらないもののためのもの)をあなたとあなたのチームに削除してもらうよう、あらゆる正規のルートを試してきました。」 さらに、「俳優であり作家であること以外に私のブランドがあるとすれば、それは真実を語り、ありのままを伝え、誠実であることで知られているということです。私のイメージを使い、新しい偽の言葉を私の口に含ませることは、私が実際に真実を語る機会を減少させます」と、自身の信頼性が損なわれることへの強い懸念を示しました。 彼女の投稿には、ザッカーバーグ氏のInstagramアカウントのスクリーンショット(カーティス氏をフォローしていないことを示唆)や、問題の広告の一部と見られる画像(「苦しんでいるすべての人に…」といった文言が添えられていた)も含まれていました。
問題のディープフェイク広告
問題の広告は、カーティス氏が過去に出演したMSNBCのインタビュー映像を元に作成されたとみられています。AIによって本人が話していない内容を語っているかのように加工され、具体的な製品名は不明ながらも、何らかの疑わしい商品を宣伝するために彼女の肖像が無断で使用されていました。
Meta社(マーク・ザッカーバーグ氏)の対応
カーティス氏によるソーシャルメディアでの公な訴えと非難の後、事態は急速に動きました。 彼女の投稿から数時間以内に、問題のディープフェイク広告はMetaのプラットフォームから削除されたと報じられています。カーティス氏自身も後にInstagramのコメントで、「うまくいったわ!インターネット万歳!恥には価値があるのね!声を上げ、解決を手伝ってくれた皆さんに感謝します!」と、広告が削除されたことを報告しました。 Meta社の広報担当者も、この広告が操作されたメディアや欺瞞的なコンテンツに関するプラットフォームのポリシーに違反していたことを認めたと伝えられています。
ディープフェイク技術の悪用と著名人の懸念
ジェイミー・リー・カーティス氏の事例は氷山の一角であり、トム・ハンクス氏やスカーレット・ヨハンソン氏など、多くの著名人が同様のディープフェイクによる肖像の無断使用や詐欺広告の被害を訴えています。AI技術の進化は、より巧妙で見分けがつきにくい偽コンテンツの生成を可能にしており、個人の評判や信頼性を著しく毀損するリスクを高めています。 Meta社は昨年、「セレブをおとりにする(celeb bait)」詐欺への対策を強化していると発表していましたが、その具体的な効果や運用状況については詳細が明らかにされていませんでした。
プラットフォームの責任と今後の課題
今回の件は、ソーシャルメディアプラットフォームがAIによって生成された偽情報や不正広告にいかに迅速かつ効果的に対処できるかという、継続的な課題を改めて示しています。特に、著名人の影響力を悪用した広告は拡散力も大きく、被害が広がりやすい傾向にあります。 ユーザーからの報告だけでなく、プラットフォーム側によるより積極的で高度な検出技術の導入や、ポリシー執行の透明性向上が求められています。
まとめ
ジェイミー・リー・カーティス氏が自ら声を上げ、大手プラットフォームのCEOに直接訴えかけるという行動は、ディープフェイク問題の深刻さと、一個人が巨大企業に対して行動を促すことの難しさと影響力を同時に示しました。「恥には価値がある」という彼女の言葉は、公の圧力が時に有効な手段となり得ることを示唆しています。 今後、AI技術の進展とともに、このような問題はさらに増加することが予想され、プラットフォーム運営企業には、より一層の責任ある対応と技術開発が求められています。


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